【きつい?激務?】上場企業の経理を内情を知る連結主担当者が不安を解消します

上場会社の経理

私自身、経理未経験から経理の担当者として就職をして、現在は一部上場会社の連結決算主担当者をしています。

 

経理のキャリアアップとして『上場会社で有価証券報告書の作成業務』があります。しかし「難しそう」「きつそう」などのマイナスのイメージがありますよね。

 

確かに監査法人への説明で専門的な知識が求められますが、上場会社で経理を経験すると『転職が有利になる』『専門知識が身につく』などのメリットがあります。

 

この記事では「経理未経験者も上場会社の経理実務を目指せる」ように詳しく解説するので最後まで読んでくださいね。

 

上場会社の経理が難しいと感じる5つの理由

私は上場会社で経理を経験するまでは「難しいかな?」「自分にできるかな?」と、根拠のない不安なイメージがありました。

 

上場会社の経理を経験して気づいたことは『分からない論点を調べる姿勢があれば解決できる』です。何も特別な能力は必要ありません。

 

わたし自身の学力は平均値です。それでも東証一部上場会社の連結決算主担当になれたのは、一つずつ論点を理解してきたからです。

 

最初に『上場会社の経理が難しく感じる5つの理由』を解説します。これらの理由は『必ず解消できる』ので安心して読んで下さいね。

 

理由①:開示の知識が必要

上場会社は非上場企業と異なり、決算に関する書類を所定の期日に提出する必要があります。主な書類を3つ紹介します。

 

決算短信

決算短信

上場会社は、決算の内容が定まったときに、直ちにその内容を開示することが義務付けられていますが、投資者の投資判断に与える影響の重要性を踏まえますと、上場会社においては決算期末の経過後速やかに決算の内容のとりまとめを行うことが望まれます。

引用:日本取引所グループ

要約をすると『会社の決算に関する内容をできるだけ早く(遅くとも45日以内)開示することが求められる書類』です。決算短信はTDNETで提出します。

 

四半期報告書

四半期報告書

四半期報告書の記載内容は、投資者の投資判断に資する十分な情報を提供するという観点から、基本的には半期報告書の記載項目とほぼ同様のものとなっていますが、一方で、四半期報告の迅速性・適時性という要請等を考慮しています。

引用:金融庁政策・審議会等

要約すると『投資家が会社の財務諸表を理解できる記載項目を満たして開示することが求められる書類』です。決算短信より情報が多く、EDINETで提出します。

 

有価証券報告書

有価証券報告書

原則として次に掲げる有価証券の発行者は、事業年度ごとに有価証券報告書を提出しなければなりません。

①金融商品取引所に上場されている有価証券
②店頭登録されている有価証券
③募集または売出しにあたり有価証券届出書または発行登録追補書類を提出した有価証券
④所有者数が1000人以上の株券または優先出資証券、及び所有者数が500人以上のみなし有価証券(ただし、総出資金額が1億円未満のものを除く。

提出期限は事業年度経過後3ヶ月以内である。

引用:関東財務局 企業内容等開示制度の概要

財務局のサイトを探しましたが『有価証券とは●●』と断定している文言はありませんでした。

 

わたしの経験から要約すると『投資家に対して投資判断に必要な情報を全て開示することが求められる書類』です。四半期報告書と同様にEDINETで提出します。

 

3つの書類の特徴をまとめました。それぞれの書類で内容が異なります。

書類名提出期日作成時期(3月決算の場合)
決算短信決算期末後45日以内3月、6月、9月、12月
四半期報告書四半期会計期間経過後45日以内6月、9月、12月
有価証券報告書事業年度経過後3ヶ月以内3月

 

上場会社はこれらの書類を作成する必要があります。他にも『内部統制報告書』といわれる、業務プロセスや運用評価に関する書類を提出する必要があります。

 

理由②:連結会計の知識が必要

上場会社の多くは複数のグループで構成されています。その場合は、全てのグループの数値をすべて合算するだけでは、グループの正しい数値を作成することができません。

 

そこで必要になるのが『連結会計』に関する知識で様々な調整をします。主な調整を3つ解説しますね。

 

投資と資本の相殺

投資と資本の相殺

親会社が所有する子会社株式は、子会社の純資産に該当します。グループに関する数値をすべて合計すると、親会社が所有する『子会社株式』『子会社の純資産』両建てになるので調整が必要になります。

 

※厳密には「取得時の純資産」と「取得後の純資産」を分けて考えます。他にも持分に応じた考えがあります

 

内部取引相殺

内部取引相殺

同一グループで行われる取引は一つの会社で見ると取引は行われていますが、グループで考えると同一グループ内で取引が行われています。

グループ内の取引は販売価格を調整したり取引の回数が調整ができて、過剰に売上高を膨らませることができますよね。その場合に調整しないと正しい取引金額を開示ができないので、グループ内の取引は相殺する必要があります。

 

※取引の範囲は損益計算書だけでなく貸借対照表も含まれます

 

未実現相殺

未実現利益相殺

同一グループ内で「飲食業」と「建設業」を運営していると仮定します。「飲食業」で新規出店時に「建設業」に依頼をして工事を行う場合に通常は利益を上乗せして工事をするので、外部に依頼して工事をした時よりも取引金額が大きくなります。

そのような場合は、利益を上乗せした金額を相殺します。内部取引相殺と異なるのは「飲食業」が建物付属等の固定資産計上した場合に、費用は減価償却費として期間按分されるので、利益部分も減価償却費と同じ期間で相殺する必要があります。

 

内部取引相殺と未実現相殺が似ているので表にまとめました。実務でも分けて考えます。

連結調整調整期間調整項目
内部取引相殺当事業年度売上高、売掛金等
未実現相殺固定資産の減価償却期間固定資産、棚卸資産

 

ココがポイント

非上場会社は連結会計に関する調整は必要ありません。上場会社特有の調整事項です

 

上場会社で働く場合は、財務会計、管理会計、税務会計に関する知識と連結会計に関する知識が必要になるんです。

 

理由③:3か月ごとに決算が必要

上場会社では『①開示作成の知識が必要』で解説した通り、最低でも3か月ごとに決算が必要になります。

 

非上場会社では決算をするメリットはありますが、税金計算を税理士に委託している場合があるので、税金計算を含めた決算作業は年1回だけの場合が多いです。

 

ココがポイント

税理士に税金計算を委託すると3か月ごとに報酬が発生する。しかし、上場会社では税務に関する知識がある人が多く、税金計算を税理士に委託せずに自社で計算する場合が多い

 

上場会社では、高度が必要な論点がいくつかあります。

計算が複雑な論点

  • 有価証券の時価評価
  • 固定資産の回収可能性の検討
  • 繰延税金資産の見積もり

会社によっては、さらに国際税務や海外取引などの専門知識が必要になります。上場会社では投資家に数値を開示するので、間違いは許されません(厳密には重要性の低い金額は許容される)

 

非上場会社では『税金計算に影響がなく会計処理が間違ってる場合』は無視をしますが上場会社では訂正をして開示する必要があるので責任重大です。

 

理由④:監査対応がある

上場会社の数値は開示するため『第3者』が開示の数値が正しいか判断します。上場会社で必要とされる知識は財務会計、管理会計、税務会計、連結会計等とても複雑なので、会計の専門家である『監査法人』に承認してもらいます。

 

監査法人は『第3者』の立場から様々な確認をします。

監査法人の視点

  • 取引が正しく財務諸表に反映されているか
  • 資料と整合性は取れているか
  • 開示資料の文章が会社の実態と通りか
  • 虚偽の内容になっていないか
  • 改正事項は反映されているか

 

わたしは監査を受けている中で「虚偽の報告をしてもバレないのでは?」と疑問に感じたことがあります。結果、正しい報告をしないと様々な角度から指摘をされました。

 

ココがポイント

監査法人は監査協会から正しく監査が行われているか定期的に調査が入ります。正しく監査をしないと協会から指摘が入るので、緊張感をもって監査をします

 

監査法人も緊張感もって監査をするので、会社側も緊張感をもって作業をします。3か月ごとに監査法人が納得する決算をする必要があるので、非上場企業に比べてかなりの工数が発生します。

 

理由⑤:内部統制が求められる

上場企業では正しい業務プロセスで処理されているか確認するために、有価証券報告書と同様に年に1度『内部統制報告書』を財務局に提出します。

 

『内部統制報告書』は2006年に決算手順が正しく行われているかをまとめた書類として成立しました。米国のSOX法を参考に作成しています。

内部統制報告書

当該会社の属する企業集団及び当該会社に係る財務計算に関する書類その他の情報の適正性を確保するために必要なものとして内閣府令で定める体制について、内閣府令で定めるところにより評価した報告書を有価証券報告書と併せて内閣総理大臣に提出しなければならない。

引用:金融商品取引法第24条の4の4

要約すると『財務諸表が正しい手順で正しい数値が作成されているかを証明する書類』です。内部統制は「正しい数値が作成されているか?」「不正が行われていないか?」を確認します。

 

業務に必要な手順を業務記述書にまとめた後に担当者と責任者の役割を分けるなど、かなり細かく文章でまとめられているんです。初めて業務をする人も理解できる必要があるからです。

 

ココがポイント

システムがバージョンアップした場合は手順を確認したり、法改正などで新しい評価が必要な場合は、手順書をアップデートする必要がある

 

手順書をがっちり作成すると、少しでも運用が変わるとその都度修正が必要になるので、多くの会社は柔軟に対応できるように作成していますね。

 

上場会社の経理の5つの魅力

ここまでで『上場会社の経理が難しく感じる理由』を解説しました。「難しいな...」「面倒だな...」と感じたかもしれません。

 

しかし上場会社で経理を経験すると、非上場会社では経験できない貴重な経験ができますよ!上場会社の経理の経験は転職をするときに非常に評価されるんです。

 

わたしが実際に上場会社の経理を経験をして感じた魅力を5つ解説しますね。

魅力①:専門性のある仕事ができる

『上場会社の経理が難しいと感じる5つの理由』で解説した通り、上場会社の経理は会計と税務だけでなく連結決算の知識も必要となります。

 

実務を通じて感じたことは、連結決算の処理に影響する改正は会計に比べると格段に少ないですが、連結決算の処理は経理経験者で聞き慣れない言葉が多くて難しいです。

 

ココがポイント

連結決算が難しく感じるということは、知識があると社内や転職の時に評価される

 

わたしは連結財務諸表の作成で必要な連結調整は多く経験しました。特に難しいのは『投資と資本の相殺』に関する『資本連結』の知識です。資本連結の知識は色々な事例で必要になります。

資本連結の事例

  • 株式を購入して子会社
  • 株式を購入して関連会社化
  • 株式を追加取得して連結範囲の変更
  • 株式を売却して連結の範囲を変更
  • 非支配持分の振替

『資本連結』は他にもたくさんの論点があります。

 

このような専門知識は上場会社で実務を経験するしかありません。監査法人も資本連結が専門でなければ、すぐに処理を答えられない人が多いです。上場会社では分野によっては監査法人にも勝る知識を身につける事ができますよ!

 

魅力②:平均年収が高い

上場企業の平均年収は全企業の平均年収よりも高いです。労働者全体の平均年収と上場企業の平均年収を見てみましょう。

 

全企業の平均年収

厚生労働省が集計した労働者全体の平均年収です。この集計は調査月に18日以上勤務しているなどの要件を満たした労働者のみを集計の対象としています。

平均年収
引用元:厚生労働省賃金構造基本統計調査

 

全企業の2020年の平均年収は『307.7万円』でした。過去10年を見るとほとんどの年で年収が増加していますね。

 

上場企業の平均年収

次に上場企業で勤務をしている平均年収を集計した東京商工リサーチの結果を紹介します。

上場企業の平均年収
引用:東京商工リサーチ

 

上場企業の2020年の平均年収は『603.2万円』です。全企業の平均年収の倍近くですね。全企業の平均年収『307.7万円』は非正規社員が含まれていて、上場企業の平均年収『603.2万円』は正社員が対象となっており単純比較はできません。

 

しかし、全企業の平均年収には上場企業の平均年収も含まれているので、非上場企業の平均年収は厚生労働省の集計結果より少なくなります。

 

魅力③:福利厚生が充実している

上場会社は福利厚生が充実している場合が多いです。上場企業だけではありませんが、求人の時に多く掲載されている福利厚生の一部を解説しますね。

充実した福利厚生

  • 持株会制度
  • 専門知識の研修制度
  • 割引購入ができる
  • 共済会制度
  • 休日が充実

 

ココがポイント

上場会社の福利厚生が充実している理由は『専門的な知識や経験のある人材を獲得するため』

 

ほかにも規模が大きくなると、社内食堂や社内コンビニなども利用できますよ。

 

①持株会制度

持株会制度は会社の株式を購入できる制度です。厳密には持株会事務局を作り従業員の代わりに株式を購入します。

 

非上場会社でも上場会社を目指している場合に、従業員のモチベーションを上げるために運用している場合がありますがあります。

 

『デメリット』があります。上場が失敗して会社の経営状態が厳しくなった場合は、株式の価値は低くなり支出した金額よりも返金額は少減少します。上場が失敗したときは膨大なコストをかけているので、財政状態が悪くなる場合が多いんです。

 

持株会制度を利用するメリット

持株会制度を利用した場合、取得価格に奨励金が加算される場合が多いです。従業員が購入した金額に会社が負担してくれるんです。

 

多くの場合は、会社の負担額は購入価額の5%~10%です。計算をしますね。

※拠出額の計算※
毎月の拠出額:10,000円
奨励金:10%

年間の拠出額:10,000円×12か月=120,000円

年間の奨励金:120,000×10%=12,000円

年間の株式増加金額:120,000円+12,000円=132,000円

 

株式の運用で毎年10%の運用益を出すのは難しいですが、持株会で運用をすると10%の運用益は保証されます。さらに配当がある会社であれば株式購入金額から株数を計算して配当金を受け取れます。

 

ココに注意

上場会社は株価が変動するので「元本割れする可能性がある」

 

投資なのでリスクはありますが世の中に確実な投資はないので持株会は魅力的な制度ですね。

 

②専門知識の研修制度

上場企業の経理の魅力の一つとして『専門性のある仕事ができる』を解説しました。専門性のある仕事をする知識を得るには、膨大なインプットとアウトプットが必要になります。

 

知識を得る方法として会社が様々なフォローをしてくれます。フォローの方法は『セミナーの参加』『書籍の購入』『講座の受講』などです。

 

個人が新しい知識を得るためには時間とお金が必要になりますが、会社の場合は就業中に『知識』を得ることができ、会社が『お金』を負担します。

 

非上場会社でも上場会社と同じような研修制度がありますが、上場企業は従業員が業務上で正しい判断をするために内部統制で教育制度を求めています。

 

ココに注意

知識を得ることにストレスを感じる人は向いてなく、向上心のある人には業務中に知識を得ることができるメリットのある制度

 

③割引購入ができる

上場企業は複数のグループ組織の場合が多いです。例えばトヨタ自動車は500社以上の様々な事業の子会社を保有しているので、様々な割引が利用できます。

トヨタ自動車の割引制度例

  • 自動車の購入
  • 住宅の購入
  • 資産運用
  • リゾート施設利用

 

ココがおすすめ

商品の購入やサービスを利用するのであれば、安ければ安いほど生活が楽になる。特に自動車の購入や住宅の購入は金額が大きくなるので、割引額も大きくなりますよ。

 

業界によっては割引制度を利用して会社の商品を購入させる場合もあります。おせち料理やクリスマスケーキを販売している会社は、安く購入できる反面ノルマもある会社が多いです。

 

上場会社の場合は、従業員が会社から無理なノルマを課されていると相談をすると、行政の指摘が入る可能性があります。なので規模の大きい会社ほど従業員に厳しいノルマを課せれないんです。

 

④共済会制度

共済会の制度は非上場会社もありますが、上場会社で制度としている場合が多いです。

共済会

共済会とは従業員と企業でお金を出し合って、福利厚生を運営する仕組みです。共済会を設立することで、企業だけが支出する場合に比べて財源が豊かになるうえ、従業員が共済会運営に関わることで、福利厚生への参加意識や当事者意識が芽生えます。

引用:働き方改革研究所

 

共済会の給付金例

  • 傷病見舞金
  • 結婚祝い金
  • 出産祝い金
  • 入学祝い金
  • 弔慰金

 

毎月の会費や役職ごとに『500円~1,000円』で設定している場合が多いく給与控除されます。毎月の支出額は増えますが、怪我をして働けなくなったときに会社から手当を支給されたり、結婚をしたときに祝い金が支給されます。

 

ココがポイント

特に重宝するのが、怪我をして働けない時です。怪我をして働けないと行政から傷病手当は支給されますが、支給額は標準月額報酬の約6割です。給料が約6割になると生活が苦しいので共済会から残りの約4割が支給されます。

 

怪我をしたときは誰もが不安になりますが、共済会があることにより普段の生活を送ることができます。

 

⑤休日が充実

法律で定められている1年間で必要な最低の休日数を知っていますか?1日の労働時間が8時間の場合で計算すると約105日になります。それは労働基準法では「労働時間の上限は週40時間」と定められており計算ができるんです。

 

1日の労働時間が8時間、週の数は1年間は365日の週換算で52週として計算しますね。

法律が定める年間休日

年間労働時間:52週×40時間=2,080時間

年間労働日数:2,080時間÷8時間=260日

年間休日:365日-260日=105日

1日の労働時間が7時間の場合や、変形労働制の場合は計算が異なりますが、一般的な労働形態であればこの計算式になります。

 

上場企業の求人を比較した結果「120日~130日の年間休日」が多かったです。休日のイメージをしますね。

休日のイメージ

完全週休2日+祝日:約120日

完全週休2日+祝日+年末年始やお盆:約130日

 

若いときは週1回の休日でも乗り越えれましたが、年齢を重ねると週2回は休日が欲しいです。上場会社の休日は多めに設定されていることが多いので、体に負担をかけずに働くことができます。

 

魅力④:社会的信用が高い

上場会社で働いていると社会的信用が高くなります。

 

「社会的信用なんてどこの場面で使うの?」と思われるかもしれません。それは『ローンを組んでお金を借りる』ときです。

 

マイホームを購入するときに多くの場合はローンを組みます。ローンを組むときに重要になるのが、あなたの年収や働いている会社の規模なんです。特に会社の規模は重要です。

 

会社の規模が重要な理由

ローンを組むときは年収も大事ですが会社の規模も大事です。ローン契約は長いと35年になります。つまり35年間働き続けてお金を返済する必要があるんです。

 

35年後のことは誰にもわかりませんが、信用のある会社で働いている人のほうが返済が滞るリスクが低く、上場会社は財務状態を開示しているので会社の現状と将来性を予想することができます。

 

ココがポイント

ローンの利率も信用のある会社で働いているほうが低くなる。さらに経理職は一般的に離職率が低い部署なので転職が失敗してローンが滞るリスクが低い

 

働いている会社が信用されているとあなたも社会的に信用されるので、上場会社で働いていると信用度が高くなりますよ。

 

魅力⑤:会社の財務諸表が公表されている

『上場会社の経理が難しく感じる5つの理由』の中で『開示の知識』が必要と解説をしました。解説したとおり3か月ごとに会社の情報を開示する必要があります。

上場企業の主な開示内容

①サマリー情報

②損益計算書

③貸借対照表

④持分変動計算書

⑤キャッシュ・フロー計算書(6か月ごと)

⑥注記

開示資料は日常生活で見ることが少ないので、あまり馴染みがないと思います。それぞれの開示内容を簡単に解説しますね。

 

サマリー情報

『①サマリー情報』では損益情報等の主要な指標がまとめられています。

サマリー

引用:日本製紙株式会社 決算短信

 

サマリー情報は当年度の数値だけでなく前年度の数値がまとめられており、当年度と前年度の数値が比較できるので会社の成長が理解できます。

 

損益計算書

『②損益計算書』では売上高から当期純利益までの段階的な利益がまとめられています。

損益計算書

引用:日本製紙株式会社 決算短信

 

サマリー情報と同じく当年度と前年度の数値が比較できます。

 

有価証券報告書では特別損益の科目に関して簡単な注意書きが記載されます。例えば『固定資産除却損』は建物や工具器具備品等のどの科目で発生したか記載します。

 

貸借対照表

『③貸借対照表』では財務情報情報がまとめられています。

貸借対照表
BS

引用:日本製紙株式会社 決算短信

 

貸借対照表も比較情報がありますが、損益計算書と異なり前期末の数値との比較です。理由は当年度でどのくらいの金額が増減したか分析するためです。

 

持分変動計算書

『④持分変動計算書』では純資産がどのように増減しているかがまとめられています。

持分計算書

引用:日本製紙株式会社 決算短信

 

持分変動経産省は純資産の増減をまとめています。純資産は『株主が投資している資本金』『利益の累積値である利益剰余金』があります。これらは投資家に非常に重要な内容なので増減の詳細をまとめています。

 

キャッシュ・フロー計算書

『⑤キャッシュ・フロー計算書』ではお金が何に使われて、何で増えたかがまとめられています。

キャッシュ・フロー計算書
CF

引用:日本製紙株式会社 決算短信

 

お金は企業で最も重要な資産です。キャッシュ・フロー計算書では『営業活動』『投資活動』『財務活動』の3つに分けてそれぞれの活動の成果を開示します。

 

注記

『⑥注記』は財務諸表では記載する事ができない詳細な情報がまとめられています。主に四半期報告書や有価証券報告書で記載されています。

注記

引用:日本製紙株式会社 決算短信

 

例えば『セグメント情報』の注記があります。損益計算書では売上高で集約していますが『セグメント情報』で事業部ごとの売上高や利益を開示します。

 

上場会社の経理のレベルは高い

上場企業の経理は開示書類を作成する必要があるので、非上場会社に比べて知識が必要になります。入社をしても継続的に学習をして、改正や新しい取引が発生した都度に処理を確認する必要があります。

 

経理は継続的に処理をするので、内容を理解をしてなくても過去の処理を見て何となく出来てしまうことが多いです。しかし変化の激しい上場会社では取引の都度確認する必要があるので、何となくでは処理が出来ないんです。

 

わたしの実体験を交えて、上場会社の経理のレベルが高い理由を解説しますね。

 

①上司、同僚は知識がある

『上場会社の経理が難しいと感じる5つの理由』で非上場会社に比べて上場会社の経理は難しいと解説をしました。この環境の中で仕事を続けるためには担当業務はかなり深いの知識が必要になります。

 

投資と資本の相殺、減損会計、税効果会計を理解するためには幅広い会計の知識と税務の知識が必要になります。上場会社ではそれぞれの分野で詳しい人がいるので勉強になります。

 

「どんな分野でも自分で学習できる」という人がいますが、間違いなく実務経験を積んだ人に質問をするほうが理解が深まりますよ。

 

②監査法人に説明しなければならない

会社によりますが、監査法人の対応は『各業務担当者』『開示責任者』がします。

 

多くの場合は、社内で連結精算表を確定させた後にまとめて監査法人が各論点を確認します。監査法人が確認するときに、社内では気づかない角度から指摘をされることがあります。

 

ココがポイント

その時に『各担当者』が監査法人の対応をしていると、知らない論点や違う角度からの指摘で理解が追い付かないことがある。その時は頭が真っ白になるが、経験を積むことでどんな指摘も対応ができるようになる

 

わたしは激務から退職者の多い会社で働いており、当時は引継ぎの時間もない状態で監査法人の対応をすることがありました。その時は分からないことは分からないと正直に回答していたので、難しい論点を教えてもらうことができてとても勉強になりましたよ。

 

③教育制度がある

『②専門知識の研修制度』で解説した通り、上場会社では研修制度が充実しています。それは業務で専門知識が必要になるからです。

 

一つ補足をすると、資格講座を会社負担で受講した場合はその資格を合格するまでは学習を続ける必要があります。受講すると人事評価の面談で進捗度合いを確認されて、勉強がうまく進んでいない場合は触れてほしくないと感じます。

 

ココがポイント

会社負担で受講した場合は『必ず目的の講座を合格しなければならない』というルールはない。しかし、途中で諦めてしまうと自信がなくなるので合格するまで頑張るというモチベーションが生まれる

 

筆者の経験

わたしは資格講座を会社負担で受講して万端の準備で受験を申し込みましたが、コロナの影響で予定していた試験が中止になりました。

 

そのあと約1年はモチベーションがなくなり学習をやめていましたが、諦めたくないという気持ちで勉強を開始して無事合格できました!

 

おそらく、独学で学習していたらモチベーションがなくなった時点で諦めていたと思います。会社で資格講座を申し込むことは、学習が立ち止まったときに背中を押してくれますよ。

 

上場会社の経理に挑戦しよう

ここまでで上場企業の経理の難しさと魅力を解説しました。

 

わたしは上場準備会社に就職をして、単体の処理で必要な知識を学ぶことができました。そのあとに東証一部上場企業に転職をして、連結決算と開示に関する業務を一通り経験をして主担当となりました。

 

15年の経理経験の中で、難しい分野の担当の時は理解に時間がかかりストレスを感じることがありましたが、乗り切ることができると幅広い業務の関連性が理解できて仕事が早くなりました。

 

上場会社の経理は経理に関わる人には良いステップアップなので、ぜひ挑戦してくださいね!

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